思いつき
ゲームを作っていて、一番楽しい瞬間はいつだろう。
完成したときでも、公開したときでもなく、「これ、面白いかも」と思いついた瞬間かもしれません。
私はゲーム開発の専門家ではありません。50歳を過ぎてから始めた、まったくの素人です。
プログラムのことも、物理演算のことも、分からないことばかりです。それでもゲームを作れているのは、分からないことをAIに聞きながら、少しずつ試せるようになったからです。
昔なら、何かを思いついても、どう作ればよいのか分からないところで終わっていたと思います。
今はAIに、
「こんなこと、できないかな」
と相談すると、こちらが思ってもみなかった方法を提案してくれます。
本当に動くのだろうかと半信半疑で頼んでみると、しばらくして、それらしいものが画面の中で動き始める。
そのたびに、たいしたものだなあと感心させられます。
「もっと速くできないかな」
例えば、ぷにころをもっと古いスマートフォンでも快適に遊べるようにしたいと思ったときのことです。
「もっと速くできないかな」
そうAIに相談すると、「TypeScriptで重くなっている処理をRustで書き直し、WebAssemblyで動かしてみては?」と提案されました。
正直に言えば、私にはTypeScriptとRustの違いも、きちんとは分かっていません。
それでもAIに教えてもらいながら試してみると、私の環境では、本当に処理が軽くなりました。
「へえ、そんなことができるのか」
そう感心すると、今度は別のことを試したくなります。
「じゃあ、物理演算だけではなく、ぷにころの描画にもWebGPUを使ったら、もっと速くなるんじゃない?」
これもAIに頼んで、試してみました。
ところが、今のぷにころでは、期待したほど速くなりませんでした。
よく分からないまま思いついたことなので、当然といえば当然なのかもしれません。
それでも、せっかくGPUを使えるようになったのなら、
「雨を降らせたら、どうなるだろう」
「海を作ることもできるのかな」
と、また余計なことを思いつきます。
AIに実装してもらい、動かしてみると、これがなかなか面白い。
画面の中で雨が降ったり、水のようなものが動いたりするのを見ているだけでも、「こんなことまで簡単にできるのか」と驚かされます。
ただ、ゲームとして面白くなったかというと、そうでもありませんでした。
しかも、動作は重くなります。
結局、ぷにころには入れないことにしました。
うまくいかなくても面白い
採用しなかったものでも、すべてが無駄になるわけではありません。
WebGPUを使った仕組みは、ぷにころの動きを比べるために使えるようになりました。
さらに、
「この柔らかい動きを使えば、別のゲームも作れるんじゃないか」
と思い、AIと一緒に新しいゲームも試作しました。
結果は……やっぱり、あまり面白くありませんでした。
でも、不思議と損をした気はしません。
思いついたものが実際に動くところまで見られたし、「これは違うな」ということも分かりました。
何より、試している間が面白かった。
私のような素人でも、思いついたことをAIに話せば、数時間後には画面の中で動いていることがあります。
少し前までの自分からすれば、まるで魔法です。
AIと一緒なら、寄り道ができる
少なくとも私にとって、AIの面白さは、コードを書いてくれることだけではありません。
思いついたことを、実際に見せてくれることです。
「こんなのはどうだろう」と頼んでみる。
動いたものを見て、驚く。
少し遊んでみて、「何か違うな」と思う。
すると、また別のことを試したくなる。
そうした寄り道を、気軽にできるようになりました。
ゲーム作りでは、何をすれば面白くなるのか、私にはまだよく分かりません。
たぶん、これからも分からないままだと思います。
だからこそ、思いついたものを一つずつ試して、「これは好きだな」「これは違うな」と確かめていくしかありません。
AIは、その遊び相手として、とても面白い存在です。
今日も、また試してみる
最近、「AIで何が変わったの?」と聞かれることがあります。
私の場合は、
思いついたことを、すぐ試せるようになったこと。
たぶん、それが一番大きな変化です。
そんなこんなで、今日もぷにころを触っています。
「もう少し柔らかくしたら、どうなるだろう」
「スーパーボールみたいに、よく跳ねるほうが気持ちいいかもしれない」
「お餅みたいに、少しくっつくようにしたら面白いかな」
物理だけではありません。
「もっとゼリーのような“ぷるん感”を出せないかな」
「アメコミのような絵にしたら、どうなるだろう」
「パステルカラーの絵本のような雰囲気も見てみたい」
AIに頼むと、あっという間にそれぞれの案を形にして見せてくれます。
どれも意外と魅力があり、「これはこれで、ありかもしれない」と迷ってしまいます。
AIは、いろいろな案を形にして、私を何度も驚かせてくれます。
でも、どれが好きなのか、どんなゲームにしたいのかまでは決めてくれません。
最後に選ぶのは、自分です。
そこには正解がありません。
だから難しい。
でも、分からないなりに試して、迷って、また試してみる。
50歳を過ぎてから始めたゲーム作りがこんなに続いているのは、きっと、その時間が面白いからなのだと思います。
ぷにころドロップを遊んでみる
ぷにぷにした生き物を落として育てる、ブラウザで遊べる物理パズルゲームです。
ゲームを開く外部リンク